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2009年3月16日 (月)

夜行列車

闇の中を列車が走ってゆく。
僕は列車の最後尾のタラップにいて、闇の中に消えてゆくレールを見ている。
過去が消えてゆくようだ。
タラップから自分の眠るべきベッドに戻ってきた。
ベッドから窓の外を見ると、わずかな民家の灯りが蛍のように、窓の端から現れ、窓の端へと消え去ってゆく。

対面方向のレールを見ると、激しい光が明滅して、僕と平行に走っている。
列車のパンダグラフが電線との摩擦によって、スパークしているのだ。
スパークを背負いながら、列車が走ってゆく。
列車の小刻みな振動はゆりかごのそれのように僕をまどろみに誘う。
タイムトンネルの中を駆け抜けてゆくようだ。
僕の眠りの間に星々の中を走るのだろう。
賢治の感じた銀河鉄道の夜も、このようなものではなかっただろうか。
これから眠るので、この文も眠りの中に消えてゆくだろう。

                    坂本誠

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